山里科研総括シンポジウム/
都市史学会大会2024(阿智)

趣意文

21世紀第一・四半期の現在、過疎と高齢化、また山仕事・山林労働が弱体化・解体する中で、山里は消滅の危機に瀕し、孤立した限界集落として捉えられている。しかし歴史的にみると、近世から高度経済成長期直前まで、伝統社会が色濃く残存する中での山里は、都市や農村とは異なる、固有の生業を社会基盤とし、効率的な密度分布と集落内外を縦横に走る道を通じた開放的な空間構造を有する場であった。本シンポジウムでは、こうした伝統社会における山里の固有性の基礎にあるものを、「都市性」という視点から捉えなおし、山里の社会・空間の特質を解明することを試みる。

※ 最終年度のシンポジウムは、都市史学会大会との共催で開催いたします。

大会要項

※ 詳細は、都市史学会ウェブサイトもご覧ください。

共通テーマ

山里の都市性と人・モノの循環構造-その開放性をめぐって-

日程

2024年12月7日(土)、8日(日)

共催

JSPS 科学研究費助成事業基盤研究(A)「南信濃山里社会の文化的景観とその歴史的形成過程に関する基盤的研究」(代表 吉田ゆり子)
都市史学会

後援

長野県下伊那郡阿智村、阿智村教育委員会

会場

阿智村中央公民館ホール(長野県下伊那郡阿智村駒場468-1)

開催方式

ハイブリッド(対面 + オンライン)

参加費

1,000円(対面・オンライン一律)

参加申込

都市史学会ウェブサイト内の「大会出欠登録フォーム」より申込。

お問い合わせ

山里科研総括シンポ・都市史学会大会実行委員会
メール: convention2024@suth.jp

プログラム(12月7日)

山里集落・建造物巡見

10:00 – 14:30
[事前申込制]
集合
10:00 JR中央本線中津川駅、マイクロバスに分乗し移動
見学先① 清内路 10:40-12:10
飯田から妻籠宿へ抜ける清内路街道沿いに位置し、森林資源・煙草・養蚕により栄えた集落。本棟造家屋がいまも多数のこされる。
見学先② 駒場 12:30-14:30
三州街道沿いの宿場町。写真家・熊谷元一の出身地であり、大正、昭和初期を中心に、古い町屋が現存。
* 駒場自治会館にて、町並みの説明を受けながら昼食を予定
備考
昼食弁当代1,000円をご用意ください。
参考地図

都市史学会総会

16:00 – 17:00

懇親会

18:00 –
[事前申込制]
会場
昼神温泉 湯元ホテル阿智川(阿智村智里503-115)
費用
10,000円
* 都市史学会ウェブサイトを通じて、ホテル阿智川への宿泊をお申し込みの方は、宿泊費に懇親会費用が含まれます。

プログラム(12月8日)

研究発表

09:00 – 10:30
近世山稼ぎ村にみる立木売の性格と影響―武州秩父郡両大滝村を対象として―|増田琴子(東京大学)
近世名古屋における家屋敷所持と女性―橘町裏町を事例に―|松本日菜子(國學院大學)
19世紀ニューヨークにおける都市型住宅地の開発手法―相続による地主のアプローチ―|鈴木真歩(岩手県立大学盛岡短期大学部)

基調講演 木の近世―伊那山の都市性を考える―

10:45 – 11:55
講演
吉田伸之(東京大学名誉教授)
司会
中野隆生(都市史学会会長)
コメント
陣内秀信(法政大学名誉教授)

シンポジウム 山里の都市性と人・モノの循環構造―その開放性をめぐって

12:55 – 16:00
12:55-13:00
趣旨説明|吉田ゆり子(東京外国語大学名誉教授)
13:00-13:30
山里における街道宿の形成と近代化|福村任生(日本大学)
13:30-13:40
コメント|稲益祐太(東海大学)
13:40-14:10
十九世紀下伊那地域における櫛生産と荷主|角和裕子(世田谷区立郷土資料館)
14:10-14:20
コメント|塚田孝(大阪市立大学名誉教授)
14:20-14:50
近代企業による山林伐採事業の担い手と物資調達―王子製紙による遠山山林事業の検討―|太田仙一(税務大学校租税史料室)
14:50-15:00
コメント|高嶋修一(青山学院大学)
15:10-16:00
全体討論
司会=伊藤毅(東京大学名誉教授)、多和田雅保(横浜国立大学)